"BirdNerd"#010――漁港から歩ける小さな島、孔島・鈴島へ。ウチヤマセンニュウに会いに行く(今年で4年目)(2021.6)
上記の姉妹ブログ「ソトブログ」の記事で書いたように、バードウォッチングを始めたばかりの3年前に初めて訪れた、和歌山県新宮市の三輪崎漁港から歩いてすぐの小さなふたつの無人島、孔島・鈴島。 ここで繁殖している希少鳥類、ウチヤマセンニュウには、それから毎年この時期に会いに行っています。
まずは手前、漁港そばにある小さな岩山、という風情の鈴島。こちらで早速、ウチヤマセンニュウの鳴き声(さえずり)を聴きましたが、姿は捉えられず。そして鈴島から、堤防沿いの通路で地続きになった孔島へ。
こちらもものの10分ほどでぐるりと周回できる小さな島。ぜんたいで5箇所ほどでさえずりが聴かれ、今年もウチヤマセンニュウの繁殖を確認できました。テリトリーを誇示するように、林のなかでさえずりながら、ちょこちょこを移動する彼らを、じっくり距離をとって、今年も何枚か、撮影することができました。
それから孔島中央にある孔島厳島神社にお参りしていると、「ギョッ」という怪鳥音(?)が。そうえばここにはアノ鳥が――、
いました。ササゴイです。 わたしたち父子としては初撮り。
梅雨の合間の暑い日。今年も小さな鳥たちに、大きな愉しみをいただきました。また来年!
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"BirdNerd"#009――高野山で念願のクロツグミ(狙いどおり。)(2021.5)
わたしと息子の今年の夏鳥のターゲットは、まだわたしたちのライフリストに加わっていないクロツグミ。コロナ禍とはいえ、地元を中心に近郊の夏山を訪れては、その姿を捉えてみたいと探しながらも、ここまで見られないでいた。のだけれど、県内ならここしかない、と思いつつ広い和歌山県、ウチからはけっこう遠くてなかなか行けないでいた高野山に足を踏み入れてみると、やっぱりいたクロツグミ。野鳥の会の先輩方の指南を受けつつ、どういう環境ならどんな野鳥がいるのか、しっかり掴んでいるわたし、ではなく息子に感服の週末の探鳥行になった。
高野山、といっても壇上伽藍や奥之院ではなく、三本杉周辺を散策。
路々にはフタリシズカやクリンソウなどの美しい山野草が。
着いた時間が遅かったのか(朝9時頃)、クロツグミのさえずりは聞かれず、そこかしこで美しい声でさえずっていたのはこのミソサザイ。
樹上でさえずっているとばかり思っていたクロツグミだけれど、この日見られたのは地面をつつきながら歩き回る姿。口いっぱいにミミズやイモムシのようなものを咥えていて、雛のための餌集めだろうか。
そう思って、Nikon P900とP1000の高倍率を活かして遠くから後を追いつつシャッターを切っていると、どうやらペアらしいメスの姿も。こちらも口には餌を咥えている様子。
ひと仕事(?)終えて奥之院に参拝し、大門に別れを告げて帰路に着きました(帰ると夕方から6歳次男と近所のグラウンドで野球三昧(長男もわたしもヘトヘト)。
今回も写真は息子のわたしの愛機、NikonP900とP1000で。
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"BirdNerd"#008――緊事宣下の近隣探鳥で、キビタキ・コサメビタキ・フクロウ他(2021.5)
2021年GWの記録。緊事宣下、といっても小学生以下の子どもたちも、わたしたち大人も、何かしないではいられない、というのが偽らざる気持ち。ならば人里を離れ鳥見、というのが(わたしたちには)いちばんふさわしい――出掛けるのはむろん、県下の探鳥地。
和歌山市森林公園
コサメビタキ。野鳥観察4年にして初見。エゾビタキなど、他のヒタキ類を見慣れているせいか、初めてだけど、あんまり初めてな気がしない。
キビタキ。公園内にある墓地周辺の林で、響きわたる美しい囀りの主。↓写真も。
キビタキの近くにオオルリがやって来た。けど、彼のテリトリーではなかったか、すぐに飛び去る(息子が一枚だけ撮影)。
センダイムシクイ。こちらも初めましてだが、よく似ているメボソムシクイは何度か見ているので、やっぱり初めてな気がしない。
和泉葛城山
場所を移して和泉葛城山でも、センダイムシクイに出逢う。こちらは巣材集めに忙しい様子で、山頂付近の遊歩ルートで、何度か人が通るも、すぐに戻ってきてはいそいそと落ち葉などを集めていた。
林の向こうから、ツツドリの「ポポッ、ポポッ」という鼓を打つような鳴き声が聴こえた。
和歌山県某所
さらに場所を移して林のなか、この写真の中央辺りにいるのは、↓
林の風景を撮った一枚目と同じ距離から、Nikon P1000のテレ端(3000mm相当)でここまで寄れた。やっぱり格好いいし可愛い。
実はフクロウの場所で、わたしはなかば諦めていて、その日撮った写真(今回の記事の)をスマホにアップロードしたりしていたのだけど、息子に言われたのが、今回のアイキャッチに書いたひとこと。
「ハナから諦めてちゃ、見たいモノも見られないよ。」
写真はいつもの通り、息子のNikonP900とわたしのP1000で。
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"BirdNerd"#007――地元でヤツガシラふたたび。(2021.4)
先日、わたしのもうひとつのブログのこちらの記事で触れた、ヤツガシラ。3月に奈良の公園で見られて、関西で話題になり、わたしたち(わたしと小学生の息子)も見ることができたのだけれど、先日、地元(和歌山)で春のシギ・チドリを目当てに田園を散策していると、なんとヤツガシラに再見。少し離れた距離から夢中で写真を撮って、ヤツガシラが飛び去ったあと、野鳥の調査を定期的にしているという地元高校の生物部の皆さんとすれ違う。顧問の先生にヤツガシラがいたことをお伝えすると、驚かれていた。
息子のカメラが捉えた地元のヤツガシラ。冠羽が開くところも。(2021.4)
未見だった鳥を、珍鳥情報を得て、大勢のカメラマンがいる出現スポットに探しに行く、ということもライフリストを増やすのに必要というか、やってしまうことだけれど、偶然の僥倖こそ、ナマモノを相手にする野鳥観察の面白さというか、愉しさというか――、同じ野鳥を見るといっても、自分たちの足で歩いて、偶々出会って見られるというと、どうしてこんなに嬉しいのだろう?
最近の鳥見から。全て息子の写真。いつもの田圃で。ダイサギ(2021.4)
ツバメチドリ。昨年はたくさん見れらたのだけど、今回はこのとき、この1羽だけ。(2021.4)
今回の写真は全て、息子のNikonP900で。私はP1000を愛用しています。後継機種のP950とともに、手軽に超高倍率で撮影可能で、各所の探鳥会や撮影ポイントでも、ユーザーをよくお見かけする、野外で愛されるシリーズ。
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"BirdNerd"#006――Nikon P900で小学生の捉えたオオジュリン他。(2020.3)
小学生の長男と愉しんでいる探鳥。二人がおもに使っているカメラは、Nikonの異様な高倍率、それ以上に見ための威容が凄いデカいコンデジ、Coolpix P900とP1000。それぞれテレ端2000mm、3000mm相当(35mmフィルム換算)と、おかしいくらいの高倍率を誇るが、それを実現するために1/2.3型のセンサーサイズで、ほとんどのカメラユーザー、とくにハイエンドを好むようなユーザーは見向きもしないような機種だろうけど、自然観察、とくにバードウォッチングのような、生き物を被写体にするケースではとてもフィットするカメラだと思う。
NikonP900、P1000、そしてP900後継機種のP950。各所の自然観察会や探鳥会でも、ユーザーをよくお見かけする、野外で愛されるシリーズ。
とくにウチのような小学生の息子が扱う場合、一眼レフに高倍率望遠レンズなんて、持ち歩くことさえ困難だけれど(そもそも買えない、という経済的事情は措いといて)、息子はP900をナナメ掛けにして歩き回り、事もなげにどんどん撮影している。そんな日々の成果がこんなふうな写真たち、鳥たち。(※すべてNikon P900にて撮影)
オオジュリン。この冬ずっと写真を撮ろうと頑張っていて、姿は見るけれどなかなか捉えれていなかったオオジュリンをようやく。
海岸近くでよく見る、タヒバリ(タヒバリもしくはムネアカタヒバリ?)。下↓の一枚も。
タヒバリのいた海岸の、干潟にて。チドリ類(メダイチドリorシロチドリ?)
そろそろ目立つ場所でキジを見かけられる季節になってきました。
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意味をなすことに意味がないことも、わたしにはよくわかっている。そのことに気がつかない人がなんて多いことか!
ラーメンはおいしかったが、この八割くらいの量でいいのになあといういつもの感想が変わることはなかった。
柴崎友香『パノララ』より
二冊の本をいっぺんに読み終わった、といっても二冊同時に開いてまったく同時に読み進めているはずもなく、数日間平行して読んで、同じ日に読み終えた、というわけで、珍しいことでもないことだけれど。――ただ、ひさしぶりにそうしてみると、読了後の気持ちの混ざりぐあい、二人の書き手とそこに描かれたたくさんの人物、事物の連なりにわたしのこころはたしかに引っかかりやモヤモヤ、かき混ぜられた感覚があって、こうしてことばにしてみるとネガティヴに聞こえるフレーズばかりが浮かぶのが不思議だが、その感じは実は、かえって心地がよい。
二冊の本は読み終えた順に、
マーク・オブマシック『ザ・ビッグイヤー/世界最大のバードウォッチング競技会に挑む男と鳥の狂詩曲(ラプソディー)』(朝倉和子訳、アスペクト刊、2004年)
柴崎友香『パノララ』(講談社文庫、2018年)※単行本は2015年
――この二冊については近いうちに感想を書いてみたいが、うまく書けない、書きようがない気もする、それぞれ、それくらい面白い本だった。具体的に触れないことには、こういうブログ、テキストがわたし以外の第三者にとって意味をなさないだろうことはぼんくらなわたしにも容易に理解できるが、意味をなすことに意味がないことも、わたしにはよくわかっている。そのことに気がつかない人がなんて多いことか!
探鳥家でない人の質問はいつも同じだ。誰かが本当に鳥を見たって、どうしてわかるんです? なぜそれを信じられるんです? 本当にすべて信頼のもとに受け入れるんですか? コミトの答えはいつも同じだった。探鳥界で評価を得るには、自分でそれを獲得するしかない。
マーク・オブマシック『ザ・ビッグイヤー/世界最大のバードウォッチング競技会に挑む男と鳥の狂詩曲(ラプソディー)』(朝倉和子訳)より
"BirdNerd"#005――神社の森でカワガラス・カケス・アオゲラ(2020.3)
そばにこんなふうに渓流のある神社の林は、以前下記のポストでミソサザイを探した場所。実はその後、息子はわたしを差し置いてすでにミソサザイを見て、写真にも収めている。ということでわたしにも見せてあげよう、となかば上から目線で案内する風情。――コロナ禍の3月なかば、再訪してみた。
その河原でいきなり「ピィピィ」という特徴的な鳴き声、水面を縫うように横切る濃い影は、ミソサザイではなくカワガラスだった。またしてもわたしではなく、息子が写真に撮る。
そして神社の林をゆっくり、耳をすませながら歩く。3月半ばの暖かい日とはいえ、中・上流域で外界よりもいくぶん涼しい、肌寒さも感じる空気のなか、しばらくして見つけることができたのがカケスだった。先日ミソサザイを見た日にも息子は見つけて、写真に撮ることができたようで(そのときが息子にとってカケスの“初撮り”だった)、この日は息子にはいくらか余裕が感じられた。
わたしには初のカケス撮りだったので、枝と枝のあいだに佇むその姿を、「動かないで!」と祈りながら枝をかいくぐってフォーカスを合わせる。その緊張感が心地いい。
そしておそらく竹林から、ふだん街でも聞き慣れているコゲラのものとは違う、甲高く響き渡るドラミング。それの聞こえる方に近づいていくと、逆に向こうから、こちら側に飛び移ってくる鳥影は果たして、アオゲラ。アオゲラもまた、これまで未撮影のわたしたちは、やはり緊張感を湛えながら、頭上の木をめいっぱい首を曲げて見上げて、その姿を観察、そしてシャッターを切る。
またいい探鳥ポイント、定点観察スポットを見つけたね、ミソサザイやカワガラス、カケスが暮らしやすい、いつもいる場所なのかも、と言い合いながら、わたしたち親子バーダーにとっては、短い時間ながら充実した探鳥行。
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"BirdNerd"#004 ――南港野鳥園という小さな楽園。(2020.2)
タヒバリ。海とのふれあい広場(大阪府堺市)付近にて
ミヤマホオジロを求めて空振りした"BirdNerd" #003の日は、午後から大阪市住之江区「大阪南港野鳥園」へ。とカンタンに書くが、紀北からはクルマで1時間以上の道のり。わたしたち父子にとっては初めての場所だけれど、端的にいって殺風景といえる南港にあって、シギ・チドリ類をはじめとした野鳥の渡来地を守るために人工干潟を整備して作られたところらしい(1983年開園)。
南港野鳥園、展望塔から湿地帯を見下ろす
この近くでミミカイツブリの観測情報があったとの、息子がネットで得た情報をもとに、あまり期待せずに行ってみたのだが、展望塔と呼ばれる、湿地帯を一望出来る屋内施設にはすでに、望遠レンズを携えたバーダー数名や、親子連れなどが。お世辞にも活気のある人気スポットとはいえそうもないし、わたしたち自身、野鳥観察に興味を持つまで知り得なかったスポットだけれど、身近にこういう場所があるのは嬉しい。
そしてしばらく観察しているとやはり息子が先んじて、宙を舞うチュウヒらしい猛禽の姿を捉える。干潟のヨシ原にはオオジュリンの姿も。
これでは全然わからないけど、おそらくチュウヒ
オオジュリン(画面中央。よく見ると右端にも)
どちらも写真としては”証拠写真”としても心許ないものだけれど、いずれもわたしたち親子にとっては初撮り(そして今回の写真はいずれも息子のもの)。息子はまだ10歳、わたしだって40代、すげー超かっこいい写真。なんてものはまたいつかきっと撮れればいい。
その後、息子情報のミミカイツブリ発見場所、「海とのふれあい広場」(大阪府堺市)付近へ移動(クルマで15分ほど)――そう、南港野鳥園からはけっこう距離があったのだ。ここではミミカイツブリには出会えなかったが、港湾には、地元ではあまり見られないスズガモが群れをなしていたり、岸にはタヒバリ、イソシギなど。
スズガモ
タヒバリ。あいにくの曇天で、息子と私の愛機、バカでかいズーム機だけれどコンデジなNikon P900、P1000では満足な写真はほとんど撮れなかったけれど、いつもと違う場所でも、こういう環境にこの鳥がいるということは、あそことここには共通点があるのか…というふうに思い巡らすと、ちょっと愉しい。
イソシギ
道中は息子が目下ドハマり中の『水曜どうでしょう』ノリで和気藹々と悪態を付き合いながら過ごした探鳥行。こういう一日こそ、いつか思い出す日になるかもしれない。
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